仕事と癒しの不倫サイト

不倫サイトで恋の駆け引きをするのは、彼女にとって息抜きのようなものでした。
仕事で重要なポジションにつけられたり、リーダー的な役割をしたりすることが多くなってきていたひとみは、正直疲れを感じていました。
今までは自分は上司に言われたことをするだけでよかったのに、今はそうはいきません。

年をとること、仕事を頑張ること、こういったことが結果的に彼女のポジションを上げたのです。
そしてその反面、仕事に対しての責任や部下を率いるという重圧などを背負うことになったのです。
クールでテキパキと仕事をこなすひとみは、多くの人から慕われていました。

彼女はそれほど派手ではないし、自己主張もほとんどしません。
しかし、この控えめな彼女の態度や雰囲気が周りの人に共感を得やすかったのです。
そのような理由から、ひとみは会社でも重要な仕事を任されたり、リーダーに任命されたりすることが増えていきました。

彼女は仕事に関しては嫌いではなかったし、自分に合っていると思っています。
不倫サイトにはまっていると言っても、仕事とはしっかり区別しているので問題なく両方を割り切れていました。

責任の問われる仕事をこなす数が多くなるほど、彼女は不倫に癒しを求めました。
ジムで体を動かしたり、料理を作ったりなど、ストレスの発散方法はいくらでもありますが、彼女は自分が甘えられる場所が一番必要だと感じていました。
そして実際にメールを交わしていると、自然と心が落ち着いてリラックスできるのでした。

結婚という目標

ひとみは今、重大な分かれ道にさしかかっています。
自分にとって一番大切な人を選ばなくてはならない時期に入ったのです。

彼女には合コンで知り合った彼氏がいましたが、その人は夫にするには少し波長が合わないと感じていました。
もちろん、普通に話したり過ごしたりするのには問題ないのですが、何となく足りないものがある気がしたのです。

ひとみは不倫で知り合った人とも、何人か親しい関係を持っていました。
不倫サイトの彼らは彼女の境遇を何一つ知らない状態で親しくなり、彼女に必要な相手になりました。
ひとみは自分が必要な相手を決めることが、目標に向かって人生を歩むことに必要だと感じていました。
そしてなるべく早く決断を出すことが自分にとっても、相手にとっても良いのだと思っていました。

けれども、ひとみは誰を選べば良いのか決められませんでした。
誰かを選ぶと、他の人が傷ついてしまうのではないかと思ったのです。
そして自分にとってみんなが大切な人であり、必要な人であるからです。

今まで結婚を考えていなかった時期はそんなことを悩みはしませんでした。
けれども、今は結婚することが自分の人生に必要なことだと分かったので、彼女は新しい悩みを抱えることになってしまったのです。

不倫サイトで知り合った人とは、まだ誰とも会ったことはありませんでした。
そのため、彼女は彼らに会ってから決断しようと心に決めました。
会ってみて自分がどう感じるか、その新鮮な感覚に任せてみようと思ったのです。

好きになった女性は既婚者

ひとみがカフェで出会ったその人は、洒落たスーツに帽子を被ったおじいさんでした。
彼女の視線に気づいてそのお客さんが顔を向けると、丸い眼鏡に白いヒゲが見えました。
そのときにひとみは思い出しました。

その人は彼女が高校生のときにお世話になった恩師だったのです。
ひとみの家は昔から転校が多い家庭だったので、小学校や中学校もいくつか経験していました。
高校になってからも1度転校を経験し、安定しない環境で過ごす学校生活を不安に感じていました。

そんなときにあの先生に出会ったのでした。
そして彼に出会ってから、彼女は自分の境遇を自分しか経験できない特別なものだと考えられるようになりました。
そしてさらにたくさんのことを彼に学んだのです。

高校を卒業してからは先生には一度も会っていなかったので、もう20年近くたっているでしょうか。
あまりにも久しぶりの再会に、少し戸惑いもありましたが彼の方もひとみを覚えていたらしく、話かけてきてくれました。

そのときに彼女は、彼から大事なことを教わりました。
これからの人生では自分の道を決めてから進みなさい、ということを彼は言いました。
今まで特に目標を掲げたり自分の意志を押し通したりしてこなかったひとみは、この言葉をとても新鮮に受け止めることができました。

そしてそれが彼女の考え方を一気に変えていったのです。
自分の道、彼女はそんなことを考えたことは一度もありませんでした。
この日の出来事がこれからのひとみに影響を与えたのです。